そして昨今、このコメンテーター枠に芸人の姿が目立つようになってきている。各局の朝・昼の情報番組では、最低1人は芸人コメンテーターが配置されているというケースが目立つ。
多くの情報番組では、取り上げられるトピック自体を詳しく紹介することに主眼が置かれているため、コメンテーターの言葉は副次的な役割を果たしているにすぎない。しかし、近年では、スタジオの専門家やタレントが積極的に意見を交わし合う『バイキング』、松本人志を中心にさまざまなコメンテーターがじっくり意見を述べる『ワイドナショー』のように、コメンテーターの発言が主軸となっているような番組も出てきている。これらの番組の中でも、コメンテーターには芸人の姿が目立っている。なぜ芸人コメンテーターがこんなに増えているのだろうか。
そもそもコメンテーターとは何だろうか。テレビのコメンテーターには大きく分けて「専門家タイプ」と「門外漢タイプ」の2種類がいる。例えば、前者の典型は政治評論家や弁護士である。彼らは、政治、経済、法律などの自分の専門分野にかかわるニュースに関して、分かりやすく解説を加えることを求められている。ニュースでよく取り上げられるジャンルの話題について深い知識があるということが、彼らの売りになっている。
一方、「門外漢タイプ」は、情報番組で生かせるような確固たる専門分野を持っているわけではない。専門があったとしても、それにまつわる話題が取り上げられることは少ない。それなのに、彼らはなぜ起用されるのかというと、彼らこそが「普通の視聴者」の代弁者だからだ。
彼らに求められているのは、独自の切り口のある鋭い意見ではなく、視聴者目線の素朴な感想である。仮に、番組の進行役であるMCと、専門知識のあるスペシャリストしか存在しない番組があったとしたら、視聴者には敷居が高く感じられてしまうだろう。それを防ぐためには、あえて「門外漢タイプ」のコメンテーターを配置して、一般人の目線で率直な意見を述べてもらうのが好都合なのだ。
ただ、実際にはこの役割をうまくこなすのはなかなか難しい。背伸びして知ったかぶりをしても嫌われるが、何も知らずに的外れなことばかり言っているとそれはそれでバカにされてしまう。かといって、専門家並みの核心を突いた発言をしたところで、「あなたにそれを求めているわけではない」と思われてしまうのがオチだ。
だから、「門外漢タイプ」のコメンテーターには、「そこそこ気の利いた的確で面白いコメント」というのが求められている。この務めをしっかりと果たせる人はそれほど多くはない。そこで芸人コメンテーターの出番ということになる。
そもそも芸人というのは、長年にわたって「人を笑わせる」という最も難しいミッションをこなしてきた実績がある。場の空気を読んで、的確なコメントをすることにかけては右に出る者はいない。また、そこにちょっとだけ笑える要素を付け加えて、その場を和やかな雰囲気にすることもできる。
特に最近では、朝や昼の情報番組でも芸人がMCを務めていることも多く、バラエティ色の強い情報番組に対する視聴者の心理的な抵抗も薄れてきている。それが芸人コメンテーターの積極的な起用に拍車をかけているのだろう。
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更新 2017/6/25 07:00
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